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源氏物語朗読視聴版
 

       
 

             
   
 

  

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能 楽

葵上 禪竹 作
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源氏ものの一つなり。左大臣の娘嫁して光源氏の北の方となり。葵上と呼ばれ給 ふ。されど光源氏の家には移らずして。なほ左大臣の家に住み。源氏は時々行き通はれ 居たりしが。ここに又六條御息所といふがありて。是も源氏の御寵愛を蒙り居給ひし に。漸う御息所の方に秋風立ち初め。物思はしく身を憂きものと歎き居給ひし頃。賀茂 の祭見に行き給ひしが。葵上も同じ處に行き合ひて。ふとしたる事より車の立場の爭 となり。左大臣家の權勢には勝つ能はずして。御息所の車は後の方に押しやられ。耻辱 を受けて泣く泣く歸り給ひぬ。是より嫉妬の上に侮辱せられし恨を加へて。御息所の生 靈いつしか葵上のもとに至り。葵上を惱ます事おびただしく。葵上は遂に隠れ給 ひぬ。此一條の物語を作れるなり。

ワキヅレ(大臣) 官人 ツレ 神子 シテ
六條御息所 狂言 從者 ワキ 横川僧都

地は 京都 季は雑
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大臣詞

 「是は朱雀院に仕へ奉る臣下なり。さても 左大臣の御息女 。葵上の御物の 氣。以ての 外に御座候ふ ふ程に。貴僧高僧 を請じ申 され。大法秘法醫療さまざまの御事にて候へども。 更に其しるし なし。ここに照日の 神子とて隠れなき梓の上手の候ふを召して。 生靈死靈の間 を。梓に掛け させ申せとの御事 にて候ふ程 に。此由申し 付けばやと存じ候。やがて梓に 御掛け候へ。

神子

「天清淨地清淨。 内外清淨六根清淨。より人は。今ぞ寄りくる長濱の。蘆毛の駒に手綱ゆりかけ。

シテ一聲

「三つの 車に法の道。三つの車に法の道。火宅 の門をや出 でぬらん。夕顔の宿の破車。やる方なきこそ悲しけ れ。

次第

「浮世は牛の小車の。浮世は 牛の小車の。廻るや報 なるらん。

サシ

「凡そ輪廻は車の輪の如く。六趣四生を出でやら ず。人間の不定 芭蕉泡沫の 世の習ひ。 昨日の花は 今日の夢と。驚かぬこそ愚なれ。身の憂きに人の恨みの猶添ひて。忘れもやらぬ我 思ひ。せめてや暫し慰むと。梓の弓に怨靈の。これまで顯は れ出でたるなり。

下歌

「あら恥かしや 今とても忍車 の我姿。

上歌

「月をば詠め明かすとも。月 をば詠め明かすとも。月には見えじかげろふの。梓の弓のうら弭に。立ち寄り憂きを 語らん。立ち寄り憂きを語らん。

シテ

「梓の弓の音は何くぞ。梓の弓の音は何くぞ。

神子

「東屋の母屋の妻戸に居たれども。

シテ

「姿なければ 訪人もなし。

シテ

「不思議やな 誰とも見えぬ上臈の。破車 に召されたるに。青女房と思しき人の。牛もなき 車の轅に 取りつき。さめざめと泣き給ふ痛はしさよ。



「若しかやうの 人にてもや候ふ らん。

大臣

「大方は推量申して候。唯つつまず 名を御名乘 り候へ。

シテ

「それ娑婆電光 の境には。 恨むべき人もなく。悲しむべき身もあらざるに。 いつさて浮かれ初 めつらん。唯今梓の弓の音に。引かれて顯はれ出でたるをば。如何 なる者とか思し召す。是は六条の 御息所の怨靈 なり。我世に在りしいにしへは雲上 の花の宴 。春の朝 の御遊に馴 れ。仙洞の紅葉の秋の夜は。月に 戯れ色香 に染み。はなやかなりし身なれども。衰へぬれば 朝顔の。日影待 つ間の有 様なり。唯いつとなき我心。物憂き野邊の早蕨の。 萌え出で そめし思ひの露 。斯かる 恨みを晴らさんとて。是まで顯はれ出でたるなり

下歌地

「思ひ知らずや世の 中の。情は 人の爲めな らず。

上歌

「我人の爲めつらけれ ば。我人の爲めつらければ。必ず身にも報ふなり。 何を歎くぞ 葛の葉の。 恨みはさらに盡 すまじ。恨みはさらに盡すまじ。

シテ

「あら恨めし や。今は打 たでは叶ひ候ふ まじ。

神子

「あら淺まし や六条の。御息所 程の御身にて。うはなり打ちの御振舞 。いかでさる事の候ふべき。唯思し召し止り給へ。

シテ

「いや如何に 云ふとも。今 は打たでは 叶ふまじと。枕に立ち寄りちやうと打てば。

神子

「此上はとて 立ち寄り て。妾は跡 にて苦を見 する。

シテ

「今の恨みは有りし 報い。

神子

「嗔恚のほむら は。

シテ

「身を焦がす。

神子

「思ひ知らずや。

シテ

「思ひ知れ。



「恨めしの心や。あら恨めし の心や。人 の恨みの深 くして。憂き音 に泣かせ 給ふとも。生きて此世にましまさば。水闇き。澤邊の 蛍の影よ りも。光る君 とぞ契らん。

シテ

「妾は蓬生の。



「もとあらざりし身 となりて。葉末の露と消えもせば。それさへ 殊に恨めし や。夢にだに。かへ らぬ物を我契り。昔語になりぬれば。猶も 思ひは増鏡 。其面影 も恥かしや。枕に立てる破車。打ち 乘せ隠れ 行かうよ。打ち乘せ隠れ行かうよ。

大臣詞

「如何に 誰かある。葵上 の御物の氣 。いよいよ以ての外に御座候ふ程に。横川の 小聖を請 じて來り候へ 。

狂言

「シカシカ。

ワキ

「九識の窓の前。十乘の床のほとり に。瑜伽の法水 をたたへ。三密の月を澄ます所に。案内申さんとは如何 なる者ぞ。

狂言

「シカシカ。

ワキ

「此間は別行の子細あつ て。何方へも罷 り出でず候 へども。大臣よりの御使と候ふ程に。やがて參らうずるに て候。

大臣詞

「唯今の 御出御大儀 にて候。

ワキ詞

「承り候。さて病人は 何くに御座 候ふぞ。

大臣

「あれなる大床 に御座候。

ワキ

「さらばやがて加持 し申さずるにて候。

大臣

「尤にて候。

ワキ

「行者は加持に參らんと。 役の行者の 跡を繼ぎ。 胎金兩部の 峯を分 け。七實の露 を拂ひし 篠懸に。不浄を隔つる忍辱の袈裟。赤木の 數珠のいらたかを。さらりさらりと押しもんで。一祈 りこそ祈つたれ。なまくさまんだばさら だ。

シテ

「如何に行者。早歸り給へ。歸らで不覺し 給ふなよ。

ワキ

「たとひ如何な る惡靈なりとも。行 者の法力つくべきかと。重ねて數珠を 押しもんで。



「東方に降三世明王。

シテ

「南方軍荼利夜叉。



「西方大威徳明王。

シテ

「北方金剛。



「夜叉明王。

シテ

「中央大聖。



「不動明王。なま くさまんだばさらだ。せんだまかろしやな。そはたやうんたらたかんまん。聽我説者得大智惠 。知我身者即身成佛 。

シテ

「あらあら恐ろ しの般若聲や。是 までぞ怨靈。此後又も來るまじ。



「讀誦の聲を聞く時は。讀誦の聲を聞く時は。惡鬼心を和らげ。忍辱慈悲の姿にで。 菩薩もここに來 迎す。成佛得脱の。身となり行くぞ有難き。身となり行くぞ有難き。

 




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